UNDERGROUND TOKYO
なぜ東京には「立入禁止の地下空間」がこれほど多いのか。

裏歴史

なぜ東京には「立入禁止の地下空間」がこれほど多いのか。

東京。人口1400万人近くが暮らし、毎日、何百万人もの人間が地下鉄を利用する巨大都市。私たちは東京の地下を知っている――本当にそうだろうか。地下鉄、地下街、駐車場、地下通路。普段、私たちが目にしている「地下の東京」は、そのごく一部に過ぎない。そのさらに下には、一般人が日常的に立ち入ることのない巨大な空間が存在している。しかも、これは都市伝説ではない。

東京の地下45メートルに存在する「巨大トンネル」

杉並区付近、環状七号線の地下、約45メートル。ここには「神田川・環状七号線地下調節池」という巨大なトンネルが存在する。直径は約12.5メートル、長さは約4.5キロメートル。内部には最大約54万立方メートルもの水を貯めることができる。目的は洪水対策だ。大雨によって神田川などの水位が上昇すると、川の水を地下へ逃がす。つまり、東京の道路の遥か下には、「川の水を一時的に飲み込む巨大空間」が実在する。普段、環七を走っていても、その存在を感じることはまずない。

そして、その地下空間はさらに巨大化している。東京都は既存の地下調節池を接続する「環状七号線地下広域調節池」の整備を進めている。「神田川・環状七号線地下調節池」と「白子川地下調節池」を新たな地下トンネルで接続し、完成すると関連する地下ネットワークは総延長約13km規模になる。さらに将来的には、複数の河川から洪水を取り込み、東京湾方向へ流す「地下河川」の事業化に向けた検討も進められている。地上からは何も見えない。しかし地下では、巨大な水のネットワークが構築されつつある。

なぜ私たちは知らないのか

これらは秘密施設ではない。東京都は情報を公開しており、一部では見学の機会も設けられている。それでも、多くの東京在住者は存在すら知らない。ここが重要だ。「秘密だから知らない」のではない。公開されていても、知らない。東京ほど巨大な都市になると、それが可能になる。

「立入禁止」は秘密を意味しない

治水施設、鉄道設備、上下水道、電気、通信、ガス、道路設備、共同溝――東京の地下には、無数の都市インフラが存在する。事故防止、設備保護、災害対応、セキュリティなどの理由から、その多くには一般人が自由に入れない。つまり「立入禁止=秘密施設」ではない。しかし、ここから都市伝説が生まれる。

鉄道会社が管理する空間。東京都や国が管理する施設。道路、上下水道、地下駐車場、共同溝。民間ビルの地下。かつて使われていた施設。それぞれ別々の目的で造られた空間が、巨大都市の地下に何層にも重なっている。だからこそ、「巨大空間の真上を毎日歩いているのに、その存在を知らない」という状況が起きる。

そして、都市伝説はここから始まる。「政府専用の地下鉄がある」「皇居と重要施設は地下で接続されている」「地下鉄には路線図に存在しないホームがある」「政府要人専用の地下施設がある」「戦前の軍事施設が現在も地下に残されている」。東京には昔から、こうした噂が存在する。ただし、巨大な地下インフラが実在することと、これらの噂が事実であることは別問題だ。確認できる事実は、「東京の地下には、一般人が普段立ち入らない巨大施設が実際に多数存在する」ということ。では、そのさらに向こう側には何があるのか。

東京には「秘密の地下都市」が存在するのか

現時点で、東京の地下全体を覆う秘密都市が存在するという確かな証拠はない。だが、一つだけ確かなことがある。東京という都市は、私たちが地上から見ているより、はるかに巨大だ。道路の下に巨大トンネルがある。その近くには別の地下施設がある。そして現在も、新しい地下ネットワークが造られている。東京の地下について調べていると、ある瞬間から、「都市伝説を調べているのか、公共事業を調べているのかわからなくなる」。それほど現実の東京は奇妙だ。

あなたが歩いている東京は、東京のほんの一部なのかもしれない。次に地下鉄に乗ったとき、ホームの先にある暗いトンネルを見てほしい。その向こうに何があるのか。私たちは、意外なほど知らない。